遠く都へ行ったまま帰らぬ夫を待ちわびて、砧を打ちながらわずかに心をなぐさめる妻。ついに心乱れて死した後、帰国した夫は妻の霊を慰めるが、妻は亡霊となって三途の川から浮かび上がり、地獄の苦患をみせる。
修行を終えた山伏は、強力(ごうりき)を連れて出羽の国へ帰る途中。辛い修行にも耐え、自身の力がより強くなったことを自慢する山伏と、それをおだてる強力の前に、蟹の精が現れる。山伏は祈りの力で蟹の精を説き伏せようとするが、強力ともども、巨大なはさみに耳を挟まれ…
延喜帝の皇子蝉丸は、生まれつきの盲目のため逢坂山に捨てられ、悲しみの琵琶を弾く。逆髪の姉君も不遇に狂乱し、放浪の末琵琶の音に誘われて弟と出会う。幸薄い我が身の宿業と互いの悲運を泣き合う人間の姿が描かれる作品。
*引用
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